その問いが、思考を止めているかもしれない
「どうして私はこうなんだろう?」
「なぜ、あんなことを言ってしまったんだろう?」
こんなふうに、自分で自分に「なぜ」という言葉をかけてしまうこと、ありませんか?
そして「しんどい」「ツラい…」と、追い詰められたような気持ちになってしまったことはありませんか?
私は、あります。ほぼ毎日です。笑
何度も自分に「なぜ」を繰り返せること自体は強みだと思っていますが、しんどいときはしんどいです。特に気持ちが落ち込んでいるときには、自分を責める方向の「なぜ」が出やすいもの。
そんな「なぜ」という質問、実は取り扱い注意なんだそうです。
なぜかというと、「なぜ」という問いは、無意識に「言い訳」や「思い込み」を引き出してしまうから。
そう書いてあったのは、先日読んだ『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた 「なぜ」と聞かない質問術』(中田豊一 著)です。
この本を読んだら「なぜ」という質問がどうしてダメなのかがわかってすっきりしたのですが、それ以上に、内省の「ツラい」を解消してくれる大きなヒントをもらいました。
簡単に紹介してみますね。
内省のツライをなくす、事実を聞く質問
内省が苦しくなったり、何度も同じことを考えてしまうときには、質問を「なぜ(Why)」から「いつ・(When)」に変えてみるのがおすすめです。
● 「なぜ」じゃなく「いつ」を聞く
(Before)なぜ、できないのか?
(After)いつ、手が止まったのか?
● 気持ちが動いたきっかけを思い出す
(Before)なぜ、あんな態度をとってしまったのか?
(After)最初に心がざわついたのは、いつだったか?
● 物理的なハードルを見つける
(Before)なぜ、この本が読めないのか?
(After)いつ、読めなくなっているか?
自分に「なぜ」を聞こうとするときって、たいていはモヤモヤしていますよね。そういうときは、どうしてもマイナスな方向に考えがちです。
例えば仕事でミスをしてしまったとき。
「はあ…またミスをしてしまった。どうして自分ってこうなんだろう」
などと、凹んでしまうこともありますよね。
ぐるぐる考えているうちに「自分なんて価値がない」とか「どうせ頑張っても無駄だ」とか、そんな暗い声が聞こえてきてしまいそうです。
でも、ここで「なんで」の代わりに「いつ」を聞いてみてください。きっと、違う景色が見えてくるはずです。
「はあ…またミスをしてしまった。いちばん最近ミスをしたのって、いつだっけ?」
2週間前かな?あのときはたしか、寝不足で頭が働いていなかったんだよな。その前は、いつだったっけ?
思い出せない…あれ、自分で思っているほど、ミスしてないのかな?
もしかして、そんなに落ち込むことじゃないのかも?
いかがでしたでしょうか。
このケース、もし「なぜ」から考え始めてしまっていたとしたら…「自分はミスをしてしまう人間だ」という思い込みからスタートしてしていたことになりますね。
でも「直近でいつ、ミスをしたのか」から考え始めたら、2週間前だとわかりました。そのときの原因が寝不足だったことも。だいぶ違う世界が見えてきました。これだったら、自分を責めるような内省にはなりにくそうです。
こんなふうに、でも理由を探る前に、質問を「いつ」に変えてみる。
これだけで内省のしんどさ、ガラッと変わりそうな気がしませんか?
言葉を仕事にしている私が思う、「事実」の大切さ
私はフリーランスで企画プランニングや言語化サポートの仕事をしているのですが、私の仕事の半分以上は「質問すること」だと感じています。
そのなかで確信していることがあります。
それは問題を知るためには、必ず「事実の確認」が必要だということ。
事実を知らないまま、問題を考えていこうとするのは、足場がないのに家を建てようとするようなもの。土台がないのに家を作ってしまったら、ちょっと嵐でも来ようものならすぐに壊れてしまいます。
内省も同じです。事実ではない思い込みをもとに考え始めてしまったら、ほんとうの原因にはたどり着けません。
この本が教えてくれている「いつ」に始まる事実を確認するための質問は、まさに自分の本心にたどり着くための土台作りにぴったりです。
今日から始める小さな内省
まずは今日一日のなかで、「なぜだろう」と問いたくなることが浮かんできたら、「なぜ」の代わりに「いつ」を使ってみるのはいかがでしょうか。
自分でも気づいていなかった「思い込み」が外れて、ツラくない内省が始まるはずです。
▼ 今回紹介した本はこちら
「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた 「なぜ」と聞かない質問術


